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□ドSの愛情表現
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『……アレ、私の靴がない』



授業を終え下駄箱の前に立つ私。どう見ても靴がない



『ねぇ、山崎〜私の靴無いんだけど…。知らない?』

部活に向かう山崎を引き止めた




「それならまた沖田さんじゃない?」

苦笑いの山崎





……また沖田のヤツ!!
全くどんだけドSなんだよ

そんなに私の泣き顔が見たいか!?





みなぎる怒りを抑え学校中を探し廻る







すると教室のドアに凭れるように寄りかかる沖田の姿があった


「何してんですかイ??そんなに急いで…」
半笑いの沖田





『いた!!ちょっと沖田!!何処に私の靴隠したの!?』




すると沖田は黒い笑みを浮かべ背中の後ろに隠し持っていた私の靴を頭の上にブラブラさせて見せた




「メス豚さん此方〜。此処までおいでぇぇ〜。」




栗色の髪がサラサラ靡かせ目の前から居なくなった





『待ってよ!!返してよ!!』




「いやだねイ〜」

身軽な沖田は木の葉のように私をすり抜けていく






…ったく、アイツは私の気持ちなんか分からないだろうな…

そうやっていつも私からすり抜けて行く

……だってさ、今日はホワイトデーだよ!?
バレンタインデー勇気を出してあげたんだよ…



でもアイツは私の気持ちとかホワイトデーなんかどうとも思ってないんだろうな……




…こうして一緒にいる時の気持ちなんかも…





胸の奥のハートがキリキリした









結局いつものように学校中追いかけっこ



そして何故か屋上にたどり着いていた






屋上はとても清々しい
春の風が吹いていた






「ほれ、メス豚。ダイエットしやしたかイ?返してやりますぜぇ?」


ポイっと外靴を投げられた



素早くキャッチする私



ムカッ


『無駄に疲れたじゃない!?しかも、電車乗り遅れました!この腹黒ドS王子!!』





「そうなんですかイ?そりゃ残念でしたねイ」
そう言うとまたいつものあの笑みで笑った





…どうせあんたの事だから計算でしょ!?

…本当に腹が立つ






「んじゃ、二駅分歩いて下せいイ。ダイエットになりやすぜイ?」
ニヤリ





『もー疲れました!!歩けません!!あんたのせいで無駄に体力使ったから限界よ!!』








「んじゃ、栄養補給しやすかイ?」

そう言うと沖田はポケットから何かを取り出しポイッと私に投げた




すかさずキャッチする私


コイツといて反射神経と体力がレベルアップしていた






「メス豚の餌ですぜぇ?」



それは可愛いらしい透明の袋に入ったクッキー







……ホワイトデーのお返し??



……なんだよ。普通に渡してくれればいいじゃん。


……無駄に体力使ったじゃん







「俺の手作りでさァ」


『えっ!?これ沖田の手作りなの!?超おいしい!!!!』






ドSなのに意外な一面もあったりするからたまらない






結局この後、二駅分二人で歩いて帰った









ドSの愛情はわかりにくい

でもそこが楽しかったりもする







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